女優の樹木希林さんが亡くなられたと知りました。ご冥福をお祈り申し上げます。
ちょうど、今年読んだ小泉今日子さん著「小泉放談」(宝島社発行)のなかで、樹木希林さんとの対談がとくに印象深かったこともあり、一読者として思い感じることをシェアさせてください。
「ジュリー!」と叫ぶおばあちゃん
私が樹木希林さんをテレビで見るようになったのは、子どもの頃のことです。人気番組「8時だよ!全員集合!」にもおばあちゃん役で出てられましたし、ドラマ「寺内貫太郎一家」のおばあちゃん役では、「ジュリー!!」と叫ぶ姿が異質でもありおかしくもあり衝撃でもありました。
テレビを見て笑う私に、母が、「この人、本当はとても若いのよ。若いけど、おばあちゃんの役をやっているのよ」と教えてくれて、とても驚いた記憶があります。うっそー!!と思いましたね。。
それは、若いのにわざわざなんでまた??という気持ちと、役者さんって、そういうものなのか!すごい!という二つの気持ちが混ざっていたように思います。
その後も、ドラマや映画で樹木希林さんを観るたびに、「なんだかすごい人」という印象がずっと私のなかにありました。職業を持って生きる女性への、尊敬と憧れがあったのだと思います。
「小泉放談」のなかの言葉
月日は流れて、今年のはじめのことです。小泉今日子さんが50歳を迎えたことを機に、諸先輩に「50代以降をどう生きるか?」をテーマに対談された記録集の「小泉放談」(宝島社発行)を読みました。ちょうど私も今年50歳になったので、誕生日プレゼントの一環としてオットに買ってもらったのです。
とても面白い内容でしたが、対談された25人の方々はいずれも著名な方ばかりで、とくに芸能界の話は庶民には遠く、私の第一読後感には、この「遠い」感じが残りました。
そんななかで、樹木希林さんとの対談は、こちらに刺さってくるものがありました。他とは圧倒的に違う、この、普遍性はなんだろう? 理屈ではなく、著名人としての自負と、それをとっぱらった一人の人間としての矜持。そこから出てくる言葉は、「遠い」と感じた私の心にも、ぐいぐい入ってくる感じがありました。
「引き受けたら、見えてくる」
樹木希林さんの対談のタイトルは「引き受けたら、見えてくる」でした。
対談のなかで、小泉今日子さんへの賛辞とともに、自分の人生をみつめながら、語られていた言葉でもあります。これから読む方のために詳細の引用は避けますが、長く生きていれば、理不尽なことは誰にでも起こることであり、それは自分だけが不幸せだということではない、マイナスはプラスへひっくり返すこともできるし、自分の成長と成熟にどう生かすかがおもしろい(以上赤字は本文を要約)、ということを語られています。
そのためには、まず引き受けることが必要なんですね。
さらに「今ある状況から、人は絶対に変化できる」(本文引用)とし、それをおもしろがることをススメてられます。
とても勇気をもらえる言葉でした。
樹木希林さんの言葉も作品も、私の胸の中には生き続けていくような気がします。
ところで、その後、私が「小泉放談」を再読した際には、「遠い」と感じたことのなかに、いくつも宝石のような言葉があって、それを初見では読み取れなかった自分を少し恥じました・・「小泉放談」は、これからシニア世代へ入る方にぜひおすすめしたい一冊です。